ふじたなおゆきの議〜日々是感動〜

人間の能力が解放される時 龍村仁監督とガイヤシンフォニー

3年ほど前かな、龍村仁監督をお呼びして、

映画上映と講演会というのをプロデュースしたことがある。

なんで監督をお呼びしたか?

実はその前、観客として講演を聞きに行ったんだけど

超感動したんだよね

だから是非!ということで来てもらった。

 

ガイヤシンフォニーっていう映画観たことありますか?

言葉ではうまく表現できないけど、僕なりの理解でいうと、

地球はひとつの生命体で、どの命も、それぞれが関連しあい、

つながっている、、、、というようなことを映像で表現してくれているんだ。

 

龍村監督は40歳を目前にNHKをクビになる。

監督の作りたかったものと、上司が作ってほしかった番組が違ったのが原因だそうだけど、本当の理由は僕の知る由もない。

理由はどうあれ、NHKからプータロになり、家族は離散、離婚。

慰謝料を払うために、本人の40代は、3畳一間で

ひとり、こっそり暮らすことになる。

 

40を超えてから、すべてを失うことになるんだよね。

想像すると、厳しい時代だったんだろうなって思う。

奥さんや、子どもに愛想をつかれ、会社に捨てられ、、、、、

どんな理由があるにしろ、誰が悪いにしろ、

監督の胸中は、計り知れない辛さだったんじゃないかなって思う。

今の僕には、絶対に耐えられないなぁ。

 

そんなとき、このガイヤシンフォニーを作ることにするんだ。

時まさに、バブルの崩壊とともに、物質一辺倒の社会から、

こころの時代、共生の時代へと移り変わろうとしていた。

今でこそ、そんな分析ができるけど、

その時代の真っただ中にいた監督が、

「地球はひとつの生命体」

なんてとぼけたことを実際の映画にしようって思うのは、

本当に先見の明があったなって感心する。

 

そして、大金を使って映画を作り上げたはいいものの、

91年に完成したときは、スポンサーの西武グループも、

右肩下がり、バックアップは期待できない。

なんと、完成してから1年間、

1度たりとも、上映の機会をもらえなかったんだって。

理由は簡単。そんな意味不明な映画、ひとが入らないって

配給会社は思ったんだろうね。

せっかく作った映画を、一度たりとも、

上映することができなかったんだ。

このときの監督の気持ちってどうだったんだろうね。

想像できないなぁ。

 

そして、1年たって、やっと六本木の小さな映画館が

「2週間だけ上映してやってもいいよ。」

と言ってきてくれる。

だけど、とんでもない条件をつけてくるんだ。

「3000万円分の前売りチケットをあなた自身が購入したらね。」

 

絶句だよね。金なんか一銭もない。

3000万円なんて金を貸してくれる銀行なんてあるわけもない。

 

絶対絶命だね。

 

監督はこの話をしながら、こう言ったんだ。

 

「危機のときに、自分がどういう行動を取るか。それが非常に重要だ。絶対超えられないような壁に直面した危機こそ、チャンスなんだ」

 

彼は決断するんだ。

3000万円分のチケット、自分で売りさばくって決めたんだ。

100枚くらいなら、義理で、売れるかもしれないけど、

3000万円分なんて想像できない。

だけど、決めるんだ。

このチャンスから逃げなかったんだよね。

 

チケットうるために、昔の友人たちのところを歩き回った。

チケットを売るために、出たことのない同窓会にも出まくった。

 

たまたま行った京大ラグビー部の同窓会。

仲間は、みんな大企業でそれなりの地位になっていた。

どんな内容の映画か、監督の説明を聞いても、

みんなさっぱりわからなかったけど、

監督が一生懸命なのは分かったんだろうね。

みんな大量にチケットを買ってくれたんだってさ。

本当の仲間って、そんなとき分かるのかもしれないね。

 

そして、全部売り切ったんだって。すごいね。

 

上映開始。

最初ガラガラだった映画館が、ものすごい口コミになり、

最終日には、映画館を溢れたひとたちが、

映画館のまわりをぐるっと取り囲み、当日券が飛ぶようにうれて、

前売りで買ったひとが、みることができないような事態になったんだ。

 

最初はポスター1枚だけで、看板も出してくれなかった映画館が、

再上映のときには、馬鹿でかい看板を出してくれたんだ。

 

監督は言う。

 

「思うことって絵空事ではないんだ。

おもい、そして、そっちに歩んでいけば、

現実はあとからついてくるんだ。」

 

そして監督が講演の最後にしてくれた話。

これが、僕にはストライクだった。

 

映画観ているひとは知っていると思うけど、

第五番の中で、出産シーンがある。

それは、実は、監督自身のお子さんの出産シーンなんだ。

そしてそのとき、監督は、陣痛と陣痛の間、

想像を絶する激痛と激痛の間に見せる

奥さんの輝く表情を不思議に思ったんだって。

こんなに激痛が続いているのに、

なんで、奥さんの顔は、こんなにいきいきと、

そして、美しんだろうって、、、

不思議に思うんだよね。

 

なんで奥さんは激痛と激痛の間に、

こんな素敵な表情を見せるんだろうって。

 

そして分かるんだ。

人間は、何万年という歴史の中で、

ものすごい能力を秘めて生まれてくるんだ。

だけど、死ぬまでに、その能力を解放することなく死んでいく。

実は、お産のときの、究極の激痛が、

女性の母としての能力を解放させるんだって。

あの素敵な表情は、「母」が解放された表情なんだね。

激痛、苦しみ、ピンチ、危機、そんな中にだけ、

解放されてくる能力が人間にはあるんだってさ。

だから、無痛分娩なんてしちゃうと、

その母としての能力を解放しないまま、

母になっちゃうかもねって監督は言っていた。

 

:::::::::::::

 

僕はここでバシッと分かったんだ。

人間は苦悩や、障害を乗り越えたとき、

成長するんだって僕は思っていた。

試練を乗り越え、神様からの課題をクリアしたとき、

成長するんだって思ってた。

でも、実は、「成長」しているんじゃないかもしれない。

人間は、いかんともしがたい、

どうしようもない究極のピンチのときに、

何万年もの人間の歴史の中で、DNAに埋め込まれた

本来なら、解放されなかった、ものすごい能力が

解放されるんじゃないのかなって思うんだ。

 

苦悩し、力を失い、未来を見失ったときに、

ひとは、はじめて、想像を絶する人間の力、

(それは当然、自分の力)に気づくんだ。

 

今、壁にぶつかり、

悩み、苦しんでいるひとがいたらいいたい。

あなたは、もうすぐ、新しい自分に出会う。

それは、あなたが持って生まれた能力で、

それは、全人類が実は持っているような能力で、

だけど、あなたが、苦しんでるからこそ、

あなただけに解放される能力なんだ。

 

よく、作家や、作曲家が、死を選ぶほどの貧困の中、

借金苦で死にそうなときに、人生最高の作品を作り上げたりする。

そういう話をよく聞くよね。

 

それはもしかしたら、その究極の苦悩の中で、

人間の能力が解放されたのかもしれないね。

多くのご先祖様からひきついだ、

究極の力が発揮されるのかもしれないね。

 

そんなことを教えてくれた龍村仁監督自体が、

実は、職を失い、家族を失い、どん底の中にいたからこそ、

この最高の映画、ガイヤシンフォニーを

地上に生みだすことに成功できたのかもしれないなって思う。

 

監督ありがとう。

最高の講演でした。

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